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日本でいちばん小さな出版社(佃由美子 晶文社 2007)

ぼくも出版社の立ち上げにたずさわったことがある。(今もそう)。その時に、とても役に立った。これは、小さな出版社にとっての実用書なのだ。取次のとの守秘義務もあり、また企業秘密もあるだろう。もっと、知りたいところもある。(たとえば、直接読者に売る本が多いから採算が取れているそうだが、どうやって直販をしているのだろうか、、、。)そうだとしても、これは優れた手引き書である。そして、出版に多少でも興味がある者にとっては実に読みやすい。

なんで読みやすいのかというと、文体がサバサバしているからだ。とてもサバサバしている。このサバサバ系の女の人というのは、例えば西原理恵子、などのラインといえば何となく分かるかと思うのですが、、、。
この人たちが実際はどうかはよく分からないにしても、文体においてはサバサバしている。サバサバしているということは、空間があるということです。空間があるから、そこで物とか気持ちをサバくことができる。そして、サバイバル、できる。(これは駄洒落)。空間のない文体というのは、圧迫感があるので、時に切実で迫力はある。しかし、そこで気持ちを延ばしたり見方を変化させたりできないから、疲れる。押しつけられている感じがどうしてもする。隙間があり空間があるのは、そこでノビノビさせてもらえる。自由である。しかし、空間をつくる、ということの裏には忍耐がある。意識的な行為であって、自然でもない。ノビノビしたい人たちは寄ってきて、甘えているが、空間を作っている方は、実は厳しい気持ちを自分に持っている。孤独かもしれない。だから、酔うことが好きである。たいてい酒が好きだし、ギャンブルも好き(かもしれない。)。しかし、もちろんそういう自分を引いてみて、そこにもサバサバした空間を作ることに余念がない。
男にも女にも、でも特に男に好かれるだろうが、ここにおいてはジェンダーの問題も絡まってくる。圧迫し人をはねのけるのではないから、多くの社会的価値を許容することにもなる。サバサバが、期待される女性役割とだぶっていく可能性が高い。男のノビノビって、だいたいそういうことだったりする。男性は、男性週刊誌を好む、と言ってくれる女性に、どれほどの安堵感を覚えることか。いちいち煽情的なグラビア写真が載っている週刊誌を読んでいることに、どこかで後ろめたいところがあるのだ。あるいは、性風俗に通っていることとか。ここが難所である。ここをどういう風に超えるのか、あるいは無視するのか、、。男の自分としては、複雑な気持ちを持ちながらも気になるところである。(本の内容は、はじめに書いたように、出版に関わることなんですが、、、)
by isourou2 | 2011-06-27 15:54


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