幕末史(半藤一利 新潮社2008)

結構大部の本であるから、少しずつ読んだ。
その結果、流れとかはよく覚えていない。
というか、ぼくは、歴史に興味がなくて、特に、戦国史に関心がなかった。戦国マニア的な人には、共感できないというか、内心どうかと思っていた。権力欲に憑かれた人たちの戦物語などで、心躍らせるというのは、どうも馬鹿らしい。そういう気持ちは、いわば戦後民主主義的なものだろうが、戦争も戦も、要は人殺しに結果するもので、到底肯定できないばかりか、その物語性に巻き込まれるのも忌避したい。その点、民俗学というのは、殿様や武士の物語ではないところに関心と好感が持てる。そもそも、現在の大文字の政治の世界、というか、政治家の世界の権力闘争などにも興味がない。選挙もいかない。そういうものを優先的に考えるのもやめにしたい。政治というのを自分たちの問題として取り返したい。まぁ、そういう風に思っている。しかし。
権力や支配欲などに駆動されている(くだらん)政治の世界が、現在のぼくたちの生活に否応なく影響を与えているようにまた、戦国史の帰結である幕末史、明治維新、などが当時の生活に大きな影響を与え、しかも、それは現在の生活の根本を決めるくらいの射程があることは、認めざるえない。
ということで、近頃、急に歴史が気になった。
出来事の積み重ねによって現在がある、ということは押さえておかないといけないなぁ、、と。
そして、とりあえず、慌てて、高校の歴史教科書を読んでみた。知らないことばかりだ、、、。というか、高校生が読んでも、その過去の出来事の現在的な意味(執筆者が付与したい意味)を読み解くことは出来ないのではないか、と思った。決して教科書が悪いわけではない。しかし、高校生の素養では無理だろう。その結果として、年号の暗記という味気ないものとして歴史が認識される。
そもそもは、最近、公園の歴史、というのを調べていて、そうすると公園が制定されたのは明治6年、明治維新の要素の1つであることが分かった。公園が制定できたのは、寺社地のほとんどが明治政府によって上地された(明治4年)からだが、それは地租改正のための準備であった。
地租改正というのが、現在の土地の私的所有のおおよそのはじまりだから、、、、などと公園を調べることを通して明治維新が現在に与えているインパクトの大きさに、齢40にして、ようやく思い至ったのであった。話しが前後してしまったが、そうして、歴史というのを素通りするわけにいかない仕儀に至ったのであった。
で、明治維新を理解するには、その前段である江戸、特に幕末の出来事が重要である。
そこで、幕末史。
ぼくは、歴史の若葉マーク(という言い方も最近しなくなった。車の若葉マークってなくなったのか??)だから、読みやすく飲み込みやすい方がいい。
で、この本は、語り下ろしたものだから、十分に読みやすく、語り口にのっかって、するすると進む。
西郷隆盛、坂本竜馬、勝海舟、今までもちろん名前は知っていたが、いまいち何したんだかよく知らない(興味もない)人たちのことが、合点がいく。
著者によると、反薩長史観らしいが、その一般的な語られ方も知らないので、特に気にならない。
同著者の昭和史に顕著な昭和天皇史観(というか過剰な敬愛)のようにひっかかりもない。
で、冒頭にも書いたが、内容ははっきり覚えていないが、後に明治政府の高官となるような人たち、その明治からことだけをとってみると、それなりの紳士たちの思えていた人たちが、血なまぐさいことばかりをしていた侍たちだった、、ということが印象に残った。なんか筋を追うのも面倒なくらい寝返ったり切ったり暗殺したりの繰り返しで、その発想にはとてもついていけない。政治家というものの起こりというのは、残念ながらも、こういうものだったわけで、その根っこは、今もあんまり変わらないといったら言い過ぎか。
明治憲法制定は22年なわけで、それまでは議会もなく、いわば少数で勝手に規則をつくっていたことになる。
ちょっとこれも、今から考えると想像できない。
しかし、それはもちろん一般的には15年戦争後に作られた感覚だろう。
ともかく、明治という時代は若い。いろんな意味で若い。
権力の中枢にいる人たちの年齢も若いし、また、岩倉使節団、というのも考えてみると、政府丸ごと1年10ヶ月も欧米を視察する旅をしているようなもので、ものすごくあり得ない。この無謀は、若さ故としか思えない。
その時、日本に残った西郷隆盛などが勝手に様々な施策(地租改正や徴兵制など)を行ったというのも、行き当たりばったりである。
このような若さ、というものを、80歳に近い著者が語りおろしている、というところにもこの本のポイントがあるような気がする。そこには、醒めた視点といささかの郷愁が漂うわけである。
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by isourou2 | 2012-05-13 00:33 | テキスト


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