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通じる英語・上達のコツ(平澤正夫)

発音記号を読めるようになれ!という新書版の本である。そして、これはけっこういい本のように感じた。まず、発音の本なのに、CDが付いていないという心意気が気に入った。ぼくのように、本メディア好きだとどうも、本にCDやましてやDVDが付いたりすると、気分が乗らない。あくまで、文字で音を表現するという難問に立ち向かう努力が著者の真摯さに思えてしまうのだ(勘違い)。
それはともかく、発音の本でこれですべてを網羅しているという完全なものはあるのだろうか。管見では見当たらない。そのため、結局複数の本から自分なりの発音を組み立てないといけない。
読解に中心を置いている(という古典的な英語学習方法の)自分だが、さすがにもう少し話せてもいいのではないか、フォニックスの次に行ってもいいのではないか、、、と思いたった。しかし、次に攻略すべきと思われる発音記号自体が、この本と手持ちの辞書でも異なるところがある。辞書の間でもちがう。また、「t」はこのような時はラ行で読む、とか様々なルールがあるが、なぜそれを表す発音記号がないのか、、、結局はどこまで詳しく発音を分析してそれに対応する記号をつくるのかという程度問題なのだろうが。また、その音の正確さよりも、他の音との識別が重要なのだろうが、発音記号だけではそのようなところまではなかなか分からない(気がする)。
その一方で、発音記号は世界中の言語の発音を表すことも出来るという話を聞いたことあり、発音記号全体の仕組みというのから本当は分かる必要もありそうだ。つまり、この発音記号という奴をどこまで信頼して付き合っていける奴なのかが、ぼくなどにはよく分からない。そういう不安の中で、この本は、ところどころ、エッセイ風になったりして、アレレ、という感じもありつつ読み終えてみれば類書の中でもポイント絞ったところはかなり詳しい。ただし、網羅的ではなく、著者の経験に基づいて大胆に発音(記号)の説明を取捨選択している。
フォニックスから、そろそろ発音記号にトライする必要があるのかも、と思って読むのにはそこそこ良かったようだ。フォニックスの基本的な知識、つまりはスペルから発音へのルールについては、この本には何も記されていない。逆に、フォニックスの本だけだと、弱母音やフラップTやリエゾンやアクセントの規則などのことはほとんど分からない。だから、相補的であるといえる。あと、長めのテキストを使って読み方を解説しているところもあるのだが、、、正直、音声が聞けたらなぁ、、、と(矛盾)。
あと、著者の左翼っぽいスタンスがなんとなく見え隠れするが、ぼく的には、それは嫌ではない。ただ、アメちゃんだって、とか言い出すのは興ざめである。
日本人は東南アジアではリラックスして英語をしゃべるのに白人のネィティブ(WSAP)を前にすると話せなくなるのは、東南アジア人に対する差別的優越感なのではないか、という著者の指摘はそのとおりだろう。しかし、それだけではないようにも思う。アジア人同士が、意思疎通するのに、英語が必須というこの倒錯的な状況の不自然さの苦さ滑稽さを共有するがゆえに、話しやすいこともあるのではないかと思う。一方で、英語ネィティブの多くは、英語が世界共通語であることを当たり前だと感じている。そのような無自覚で傲岸な自信を背景にして「正確に話そうとしすぎる」「日本人はシャイすぎる」などと善意の英語ネィティブに励まされても、こちらはしどろもどろになるばかりだ、、、、、。
この本を読んで、コピーがうたうように「あなたの英語が大変身する!」という実感は全くわかないが、ほんの少しは進歩した気になる。
by isourou2 | 2015-02-17 22:56 | テキスト


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