英会話なるほどフレーズ100・英会話きちんとフレーズ100(スティーブ・ソレイシィ ロビン・ソレイシィ アルク 2000年2012年)

<div>いわゆるソレイシィ本にぼくは英会話はおまかせすることにしている(英会話といっても発話のことでヒヤリングは他の方法が必要だろう)。<br></div><div>日本の英語教育(教材)の変革というのはいろいろあったのだろうが、一番の黒船は2000年発行の「なるほどフレーズ100」だったのではないだろうか(言い過ぎか?)。</div><div>これは、アメリカの赤ん坊や子供が覚えていくフレーズを生育順に集めた本である。日本人が間違えやすい口語表現についての指摘も随所にある。日本の英語教育に脱落している部分を圧倒的な説得力で実践的な内容にまとめていると言えるだろう。</div><div>パッと見ての特徴はその親しみやすさだろう。イラストも多いし、ソレイシィの文章も平易である。しかも、親子で作っているという家庭的な雰囲気が満載。取り上げられる言葉には「OK」や「Thanks」もある。簡単すぎる、、、と思ってスルーする人もいるだろう(ぼくもそうだった)。しかし、これまでの日本人の英語の問題は、あまりにも簡単なことがあまりにも言えないことだったのではないだろうか。難関大学の受験レベルの文法を勉強していても、実際には全く話せないという人はたくさんいる(ぼくもそうだった)。ただし、だからといって文法が必要ないということにはならないだろう。この本は、むしろ、基本的な文法を修得した人にこそふさわしい。</div><div>ここに出てくる有用なフレーズを理解するには、それなりの文法知識があった方がいいと思う。もちろん、丸暗記してもどうにかなるのかもしれないし、どちらにしろ暗記が必要なわけだけど、文法知識があった方が覚えやすいし、応用もきくはずだ。平易なこの本は意外に手応えのある(取り組みがいのある)本である。</div><div>「きちんとフレーズ」は続編にあたる。趣旨はほぼ同じ。ただ、日本語でよく使う言葉を英語で表すというところに力点を変更している。残念ながら、なるほどフレーズにあった練習問題がなくなっている。</div><div>両著とも無駄な内容は全くない。付属のCDも録音がクリアで良くできている。繰り返し聞いてもそれほど苦痛ではない。まずは、これらを覚えるのが会話では先決だと思う。ぼくは、海外に行く時、ソレイシィを持参してどうにか乗り切っているし、発話する分にはぎりぎりどうにかなるのではないかと思う。もちろん、瞬時にこれらのフレーズが口から出ればの話であるが。けっこうな量なので、覚えやすいとも言えない(し、実際ぼくは覚えられていない)。フレーズ集は、意味的分類が定石だが、これはネィティブが覚える順というユニークな構成。ランダムに並んでいるともいえる。記憶するのに有利な方法だとも思えないが、単調さに陥るのを回避してもいてはいる。似たようなフレーズの羅列を避け、それぞれのベストフレーズを提示しているのだから意味的分類にこだわらなくて良いのかもしれない。また例文なども他のフレーズを組み入れたりして工夫がある。</div><div>なお、このようにフレーズの組み合わせで言葉を習得することの弊害(限界)もあるだろう。それは、「なるほど」から「きちんと」まで10年以上の月日がたっているにもかかわらず、ソレイシィの書く日本語が上達しているように思えないことに現れている。一見、流麗なソレイシィの日本語は、間違ってはいないが単調であり、平易でありながらこなれていない部分もある。フレーズの使い回し・組み合わせで書く方法を表現として深化させることには限界があるのだろう。それは、おそらく日本語文法を細部にわたって知悉しているマーク・ピータセンの日本語が著作ごとに洗練されていっていることと対照的である。とはいえ、そこまでの英語の能力を望む人はマレだろう。ソレイシィのやり方で十分であるし、ぼくは英会話についてはソレイシィに私淑するつもりである。</div><div><br></div><div>*あと、特筆すべきことは、英語学習本に時折見られる覚えたくない例文(性的なオブセッションがある文や品のないユーモアなど)がほぼないことである。ただでさえ楽しくはない英語学習を行う身には、これは意外と重要なことである。</div>

*同シリーズの異系ともいえるペラペラビジネス100について

英語学習本の第一版はなるべく掴むな、というのが鉄則。
重版されてなかったら仕方ないし、大手出版社(英語本を出版している大手ではなく、一般出版社の大手という意味)だったら大丈夫かもしれないが、古本を買う場合のチェック事項としてこれは意外と重要だ。同一書があったら、なるべく版を重ねているものにするべきだ。
ぼくが買ったペラペラビジネス100は第一版。驚くほど誤植が多い。50~100はあると思う。誤植だけでなく、イラストと性別があっていなかったりもする。
まったく校正をしていないか、準備稿を間違えて印刷しているのかというレベル。
ただし、CD(録音)や例文、構成などの内容はとても良い。繰り返してやるだけの価値がある。つまり、誤植がそれだけあっても、ぼくにとってそれを超えるだけの良さがあるとは言える。だからといって、この第一版の誤植のひどさが免責にはなるわけでもないだろう。しかも、WEBなどに正誤表を掲載していないから、アルクに問い合わせて正誤表をもらわないといけなかった。そして、正誤表に載っていない間違いもたくさんある。間違いはすぐに分かるものがほとんどだから、まぁ、それほどの被害はないけど、気分のいいものではない。
おそらく、なるほどフレーズ(2000年)が大ヒットして、相当慌てて制作したからこういうことになったのだと思う。内容の素晴らしさと誤植の多さのアンバランスということでも記憶に残る一冊である。

(内容について一言。高度なビジネス交渉を目的としたものではなく、かなり初歩的な会話集である。英文を読むスピートもゆっくりだ。しかし、このレベルが必要な人は多くいるだろうしぼくのニーズにも合致している。また、「なるほど」や「きちんと」とより学習しやすいように出来ているのでそういう意味でおすすめである。しかし、上級者やすでにビジネスで英語を使っている人には必要ない本だろうから、このタイトルは誤解を招きかねない。)



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by isourou2 | 2015-07-27 00:46 | テキスト


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