歌う女・歌わない女(アニエス・ヴェルダ 1976)
女の人のための映画である。
女の子だけではなく、これは女の人のための映画である。
そういう映画ってありそうで、今まで見たことがなかった。そういうのを感じた小説というと、ガートルード・スタインの「3人の女」。スタインとアニエスヴェルダは、ぼくの中ではとても息遣いが似ている。
ヴェルダの映画は、これで3本目だが、どれも構成はあっても構造はない。
つまりは、いってみればガールズトークのように続くのである。タペストリーのように、つづれ織り。ブリコラージュのように出来上がる。なのでぇ、面白いんだけどぉ、ちょっと、早く終わんないかなぁって、思ったりしちゃうわけ。口調を戻す(しかもこんな口調な人はこの映画に出てこなかった)と、ヴェルダのテイストに、はまればとても面白く親密なる世界があるのだが、外れると退屈に思えてしまう映画なのである。
そして、このヴェルダのテイストというのは、チャーミングで才気があるが、同時に控え目で上品で慎ましくもあるように思える。
これは、この映画が「中絶」を描いている(あるいは女性の自立を描いている)ために、1週間しか上映がされなかったということと矛盾はしない。どの映画もそうだが、これは、どこを切ってもヴェルダ自身なのだから、テーマというのは、それほど重要ではない。
重要なのは、痛みを伴いながらも画面に流れる親密さというのが、永遠に続くような気がすることである。
なので、状況の構造をえぐり出すというような部分は、きっとある程度はじめは意図していたと思うが、次第に薄れて曖昧になっていく。
ヴェルダの持つテイストというのも、女性に期待される「好ましさ」からはそれほど大きくは外には出ていかない。そして、男であるぼくには、それは安心感として感じられるところがある。そして、描かれる男が類型的にも見える(類型的ではない男がどこにいる?)にしても、排除されるわけではない。それが、見る人にとって(女性にとって)物足りないかといえば、きっとそうではない。
この映画を見ようと思う女性にとっては、きっとそれはツボであり泣き所であり矛盾であり、リアルなことが親密に語られていることである。冒頭の文章を書き換えるとこうなる。
これを見ようと思ったあなた、これはあなたのための映画です。
ここで描かれるような女性の友情はうらやましい。
ガールズトークもうらやましい。(ところもある。)
そういう男であるぼくにも、この映画は遠くて近い輝きを見せてくれる。
女の子だけではなく、これは女の人のための映画である。
そういう映画ってありそうで、今まで見たことがなかった。そういうのを感じた小説というと、ガートルード・スタインの「3人の女」。スタインとアニエスヴェルダは、ぼくの中ではとても息遣いが似ている。
ヴェルダの映画は、これで3本目だが、どれも構成はあっても構造はない。
つまりは、いってみればガールズトークのように続くのである。タペストリーのように、つづれ織り。ブリコラージュのように出来上がる。なのでぇ、面白いんだけどぉ、ちょっと、早く終わんないかなぁって、思ったりしちゃうわけ。口調を戻す(しかもこんな口調な人はこの映画に出てこなかった)と、ヴェルダのテイストに、はまればとても面白く親密なる世界があるのだが、外れると退屈に思えてしまう映画なのである。
そして、このヴェルダのテイストというのは、チャーミングで才気があるが、同時に控え目で上品で慎ましくもあるように思える。
これは、この映画が「中絶」を描いている(あるいは女性の自立を描いている)ために、1週間しか上映がされなかったということと矛盾はしない。どの映画もそうだが、これは、どこを切ってもヴェルダ自身なのだから、テーマというのは、それほど重要ではない。
重要なのは、痛みを伴いながらも画面に流れる親密さというのが、永遠に続くような気がすることである。
なので、状況の構造をえぐり出すというような部分は、きっとある程度はじめは意図していたと思うが、次第に薄れて曖昧になっていく。
ヴェルダの持つテイストというのも、女性に期待される「好ましさ」からはそれほど大きくは外には出ていかない。そして、男であるぼくには、それは安心感として感じられるところがある。そして、描かれる男が類型的にも見える(類型的ではない男がどこにいる?)にしても、排除されるわけではない。それが、見る人にとって(女性にとって)物足りないかといえば、きっとそうではない。
この映画を見ようと思う女性にとっては、きっとそれはツボであり泣き所であり矛盾であり、リアルなことが親密に語られていることである。冒頭の文章を書き換えるとこうなる。
これを見ようと思ったあなた、これはあなたのための映画です。
ここで描かれるような女性の友情はうらやましい。
ガールズトークもうらやましい。(ところもある。)
そういう男であるぼくにも、この映画は遠くて近い輝きを見せてくれる。
by isourou2
| 2012-02-29 00:30
| 映像

